2013/12/18
銚子港に漂う腐敗臭に挑め! ~ウミネコの声録音編
これまで何回か海に行って効果音の録音をしていますが、そこにウミネコがいることが度々ありました。「ヤツらの声を録れれば、ユーザー様に海のシーンとかに使っていただけそうだぜ!」と思い、その都度録音を試みていました。しかし、全く鳴かず。これはもう大量に棲んでいるところにいかなきゃ録れないと思い、関東一カモメが多いという千葉の銚子に行ってきました。
そんなわけで、旅の当日。ネットの情報では「銚子の前の駅からカモメがいる」とのことでしたが、あれ?全然いない……。ま、まあ銚子駅につけばいるさ!しかし、銚子駅にもいない……き、きっと港に大量にいるのさ!てなわけで港に向かいましたが、いたのは数羽だけ。いやあ、さすがに心折れますわあ……ここにいなかったらどこに行けばいるんスかねえ。ウミネコは船に数羽いて多少鳴いてはいるのですが、距離がそこそこあるので音がクリアに録れません。今までも、外出したはイイが目的の音が録音できず、坊主(収穫なし)で帰ってきたことが結構あるんです。動物の声の録音とか、動物の声の録音とかですね(大事なことなので……)。その時いつも味わう「脱力感」が早くも漂い始めていました。
こうなったら現地の人と会話してカモメがいる場所を聞き出します。釣り糸を垂らしているおじさん2人に訊ねてみたところ、「あ~時期(時間帯)が悪かったな~。朝、船が漁から帰ってくるときには大量にいる」とのこと。えっ、朝から突撃しないとダメなのか……しかも漁から帰ってくるとなると、船のエンジン音がうるさくて録音どころじゃないんじゃあないか(余計な音が被ると効果音としての質が落ちる)。となると、今日はここまで来て収穫なしか?そんな考えが脳裏をかすめました。
しかし耳寄りな情報もゲット。「今いるここは第一市場。あっちの第二市場に行けばここよりはいるよ」とおじさん。よっしゃ、こうなったらそこを目指すしか!ところが第二市場まではぐるっと迂回しなければならず、近くに見えていたのに思ったより距離がありました。夏の殺人的日差しに耐えながら、第二市場にあと一歩と近づいたその時でした。「ミャア」。おおっこれはッウミネコの声だ!しかもたくさん聞こえる!すぐ近くには港が。そこか?そこに奴らがいるのか!?いたー!!彼らの目当ては捨てられた魚で、そこに群がり取り合いをしております。
魚は腐敗しており、それはもう、鼻が曲がるなんてもんじゃない悪臭を放っていました。私はそれに耐えて死体の中心にマイクを置き、離れた場所でいい音が録れるのをじっと待つことにしました。もちろん近づきすぎると逃げてしまいますが、マイク置いて私が遠ざかれば数分もするとまた元の場所にやってきて、死骸をついばみ始めます。しかしどの個体もミャアミャアと騒がしく鳴いております、海猫とはよく言ったものです。しかし声が録れる喜びとこの悪臭、カオス状態です。
鳥の声の録音で重要なのがマイク設置録音です。私の場合は、餌場にマイクを設置し、近くに来て鳴いてくれるのを待つしかないと考えています。遠くから音を拾うより、近くから録ったほうが余計な音が入らず、しかもクリアな音声になるからです。今回は港の近くに車が走っていたため雑音なしとはいきませんでした。背景にサーという音が入っているのはそのためで、本当はなくしたいのです。でもこれならなんとか使っていただけるかなと思います。欲を言えば鳥と一緒にスタジオに入って録りたいですが、まあ無理だろうなあ(笑)。ともあれ、これからも野鳥のクリアな音声を録るのには苦心しそうです。
ウミネコの声のダウンロードは自然・動物ページからどうぞ。