2014/03/05
秘密のレシピ一部公開! ~アニメ効果音編
今回は爆発や怪獣の声などの、アニメや特撮の効果音についてお話しします。これまで効果音の録音テクニックは公開していましたが、アニメや特撮の音の制作テクニックを書くことはあまりありませんでした。一般的にこういった効果音は制作方法が門外不出なので少し貴重かもしれません。
モンスターの鳴き声1
問題です。どうやって出している音でしょうか?答えはエレキバイオリンの弦をボロボロの弓でこすった音です。実は、音自体はすさまじく小さいです。何十回とこすっていると、たまたま「らしい音」になることがあります。
効果音ラボは「効果音 作り方」のキーワードで来訪される方がいらっしゃいますが、そういう方は、今回のようなアニメ風効果音の作り方が知りたいのだと思っています。しかし、アニメ効果音を作るノウハウを身に着けたい場合、上記のような一時の知識ではなく、効率よく作り続けられる制作スタイルを探すほうが良いと思います。
私の制作スタイルは、録った音を、「偶然」に期待しひたすら加工を繰り返すことから生まれています。ある意味、自分との戦いです。普通は、格闘ゲームのパンチの音を作るだとかそういった目的があるから作るものですが、当サイトは効果音ライブラリであり、質の高い音が作れれば種類は問わないため、この手法で制作できるのです。作り方としてはあまり参考にならないかも知れないのですが、試行錯誤に時間をかけられることによって、ユニークな効果音が生まれる可能性を秘めているのがこの手法です。これがもし会社だったら、いつまでに何の音を何個作るというノルマがあるはずなので、この手法は少し厳しいように思います。
もちろん、最初から「こういう音が作りたい!」と狙って作った効果音もあります。1個につき数日間PCと向かい合いました。その甲斐あって氷魔法2はかなり思い通りにできたと思います。
サイトで公開している効果音は、私の満足度が80%以上行くもののみで、実は作る際の試行錯誤で発生したスクラップ音源も大量にあります。こうしたスクラップは、後々他の音と合わせて効果音にする場合に役立つ場合があるので、削除せずストックしています。例えば、当サイトのアニメ効果音で人気なのがシャキーンという音ですが、その制作過程で生まれたスクラップを公開したいと思います。微妙に音が異なり、いろいろ試行錯誤しているのが分かると思います。自分が満足いく音になるまでひたすら加工。何を「正」、何を「誤」とするかは、自分のセンスを信じて行います。
シャキーン(テイク1)
誰が聴いても一撃でシャキーンと認識できる音にしなければならない。「シャ」の部分は良くできたと思うので、「キーン」の部分を強調してみたらどうなるか試してみたものの、後半が主張しすぎな気が。
シャキーン(テイク2)
音が軽すぎる。
シャキーン(テイク3)
音が割れている。割れた音は効果音として質が低いと考えている。
シャキーン(テイク4)
シャキーンとは聞こえない気がする。
個人的に、このようなアニメ・特撮系効果音は、何かの音をそのまま録音したものより価値があると考えています。録音できる音は、頑張れば手に入ります。でもアニメ効果音は、試行錯誤が必要であるからです。ところが最近は拘っていると感じられるアニメ・特撮系音がメッキリ減ったと感じています。技術自体は発達しているので、昔より凝ったものが作れるはずですが……。
これは、音楽シーンで2000年頃から始まった、メロディラインを抑える手法の延長線上にある気がします。つまり効果音はあくまで作品の裏方なので、主張しすぎないようにするという考えです。私は全く逆で、印象に残る音が大事だと考えています。私は子供のころ見たアニメの効果音をたくさん覚えていますが、今のアニメには、何年経っても覚えているほどの印象を残す効果音は減ったと感じます。個人的には昔のほうが好きなので、戻ってほしいと考えていますが、時代の流れ的には難しいのかなとも感じます。
でも自分の方向性はあながち間違っていないと思います。現に当サイトは「演出・アニメ」ページが最も高い閲覧数を叩き出していて、シャキーンはダウンロードランキング上位に入っています。この結果がユーザーの皆様の総意だと信じ、これからもブレずにアニメ・特撮系効果音の拡充に取り組んでいこうと思います。